#氷雪のシアタールーム

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『私ときどきレッサーパンダ』感想:良い子はやめだ、"わたし"になるんだ(ネタバレなし)

かわいくて笑えて泣ける!最高!

※核心的なネタバレは無いけど結末の方向性にうっすら触れています。

私ときどきレッサーパンダを視聴 | 全編 | Disney+(ディズニープラス)

とにかくキャラクターがみんな生き生きしててリアル!今までアニメでいないことにされていた「可愛くない女」がメインキャラでこんなに楽しそうに日常を送っているところを描いてくれるなんて最高だよ。メイがかわいすぎて、レッサーパンダになってしまって孤独の中で夜泣いているシーンなんて死ぬほどかわいそうで自分も泣いちゃった。てかメイが泣いちゃうシーンぜんぶ泣ける……。レッサーパンダはいろんなものの暗喩とは思いますが、女の怒り(抑えるべきものとして強制される呪いなので)という考察がわたしはしっくりきました。

そして当たり前にレッサーパンダのときのかわいさもすごい。友達のなかではわたしはアビーが特に好きなんだけど、アビーちゃんメイがレッサーパンダを抑えられるかも……って言ってるとき露骨にガッカリしててかわいかった。モフモフさわりたいよな……。ところで最近の子は普通にボイパができるのですか?

あと背景の色彩がマジですごい!パステルカラーっぽくて背景見てるだけでかわい~!となる。キャラの表情とか演出も日本のアニメっぽくて、リアル寄りにするのではなくて、新しい表現を探してる感じだったね。あとラストのアクションシーンもほぼ進撃の巨人やん。

その他いろいろマジで唯一無二でしょってくらいすごいことをたくさんやってて、生理を描くのとかもすげ~と思ったけど、一番良かったのは家族も大事だけど自分で選んだ居場所である仲間たちとの友愛が何より大事だよねという結論。ディズニーの作品は最新作でもまだ血の繋がりを最重要のものとして描いているとして批判されていたけど、ピクサーはとっくにその先に進んでるね。あとたまに昔が懐かしくなるけど変わらないものは無いっていうラストの独白もジーンときた。

進んでいると言えば男の子がネイルをしているのなんかはもはや当たり前で、パッチ型インスリンポンプをつけている女の子、ライブに車椅子で来ている男性、手をつないで歩く男性2人など、ピクサーはいつも本当にさりげなく多様性を描いてくれる……。トイ・ストーリー4で人工内耳を付けている子が登場したときもめちゃくちゃ話題になってたし。

ディズニーに同性愛描写をカットされたという告発があったけどプリヤのロマンスのことかなあ。パーティのときそれっぽい描写があったから……。(この件本当に最悪なので触れたくもないのですが声明も献金もピクサーへの圧力もすべてカスと思う)

 

それはそれとして普通に過干渉毒親キツ~~~い!あと共感性羞恥も死ぬほどキツい!!際どい絵をみんなの前で公開されるシーン、こんなに容赦なくやる必要ある!?ってくらいつらかった。でも欲望に任せた絵描いてるときの顔と笑い方むっちゃ分かる。こうなる。親に友達とか趣味をけなされたときうまく反論できないのもリアルでキツかったな~。

 

そして併せて観たメイキングについても少し。

レッサーパンダを抱きしめて : 『私ときどきレッサーパンダ』メイキング映像を視聴 | 全編 | Disney+(ディズニープラス)

監督がめっちゃオタク!というのが分かって面白いんだけど、親に昔描いた絵見られるの超つらくない?ピクサーで監督やるくらいクリエイターとして成功してるならええんか……?わたしはすぐ実家に帰って処分が漏れているであろうアナログ絵とかを全部焼きてえと思ってしまった。

そして女性、母親、娘、移民二世、同性愛者といういろいろなバックボーンを持ったクリエイターのドキュメンタリーとしてもすごく良かった!

個人的なことを詰め込んで出来た作品が普遍的な思春期の物語になるんだよな……すげえよ……。