#氷雪のシアタールーム

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『ナイトメア・アリー』感想:オム・ファタールの人生の終わりとは(ネタバレあり)

!作品のオチに触れています!

 

デルトロ監督のノワール映画!
でもノワール映画自体に思い入れというか理解が深くない!ということであまり作品背景とかは語れないのですが、デルトロ監督作品の中ではかなり後味が悪い方という印象でかなり好みでした。
『パンズ・ラビリンス』も『シェイプ・オブ・ウォーター』もはたから見るとバッドエンドではあるけど本人たちは幸せに感じてるとも取れる、いわゆるメリバなので救いがあるようにも思えるんだけど、今回はマジでそういうのも無かったからね……。

デルトロ監督はオム・ファタールを描きたかったらしいんだけど、それならあのキッチ〜オチどういうことやねん!?他人を狂わせた人間は最終的には没落してほしいみたいなヘキがあるんだろうか……。
でもブラッドリー・クーパーの色気はマジで凄まじく、一見冴えない普通の人に見えるんだけどひとたび目を合わせて会話を交わすと抗えない魅力が全身を襲ってくる〜!みたいな説得力がすごかった。露骨すぎないセクシーがうまいな〜と思いました。でも目隠しはちょっとエッチだったな……。

元々はディカプリオと交渉してたらしいけどレオ様がこの役やってたらマジでスーパーキラキラ顔面力により登場人物が全員スタンの意のままに自動で死ぬ映画になってしまっていたでしょうから逆に良かったのではないか…いやレオ様でも見てみたかったけどね。

 

デルトロ映画といえばゴシックな世界観に作り込まれたセットが最高!みたいなイメージがあって、今作はゴシックではないけどセットはやっぱりめちゃくちゃ良かった。見世物小屋っていうモチーフ自体がすでにデルトロ得意そ〜と思うけど、瓶がたくさん並んだデフォーの小屋はかなりビシビシに決まっててもっとよく見たかった!あとケイト様のオフィスも最高だった。

 

ケイト様、役どころも衣装も全部良かったな……。圧のある顔面と低いお声と高らかな笑い方、すべて最高すぎて好きすぎる。人間よりかなり上位にいる存在と思わざるを得ない。オム・ファタールなブラッドリー・クーパーと精神的怪獣大戦争みたいになってましたけど結局ケイト様に軍配が上がるというのも最高。この世すべての生き物を手のひらの上で転がしまくってほしい……。

サーカスのメンツもみんな良かった。
ルーニー・マーラちゃん、『キャロル』などのイメージが強いので素朴で善良で薄幸で気弱な女の子が似合いすぎる……幸せになってくれ……と思いました。お顔がね、強くなさそうでかわいいのよね……。スタンと駆け落ちを決めるときの会話でおそらく過去に性暴力にあったことがあるのを匂わせる発言をしてて、なおかつスタンがそれにまったく気付いてなさそうだったのがマジ最悪で絶対そいつやめた方がいいよ……ってなった。てかケイト様いるしキャロル精神的続編!つってふたりがくっついたら良かったのにね(良いわけがないよ)(アホなオタクの妄言だよ)
デフォーに調教、されてえよ。デフォー、絶対良い人ではないんだけど身内には優しいところもあることを描きつつ、「ギークの作り方」の語りででもやっぱりめっちゃ恐ろしい人だ〜と思わされる良デフォーか悪デフォーか結論を出しかねるキャラクターだったね。独立した後ホテルに会いに来てくれたところは純粋になんか良い人たちなんだなって思ったし。でも最後赤ちゃんのホルマリン漬けだけが出てきて結局どうなったのか分からない無情さも良かった。
トニ・コレット、やっぱりヘレディタリーのイメージが強いけど、今作ではかなり落ち着いていてちょっとお色気枠でもあるお姉さんで良かった。そういえばナイヴズ・アウトの似非グウィネス・パルトローみたいなのも面白かったな……。
ロン・カワイイ・パールマンは今日もかわいい。おれも近付いてくる男すべてロン・パールマンに殴ってほしいよ……。

あと『キャッシュトラック』のブレットことホルト・マッキャラニーも良かった。あの主従、背景は語られなかったけど「あの人が大事だ」っていう発言がめちゃくちゃいろいろ想像させてくれてグッときたし、なによりご主人様(Sir)呼びがなんか普通にめっちゃよくて……ベタベタだけどそういうのが好きで……。ホルト・マッキャラニー、ガタイがいいのとなんかあんまり人の話ちゃんと聞いてなさそうかつ心に決めた人以外見下してそうな表情が用心棒役に超ハマってたね。

 

いろいろ言いましたが自分の欲望のために人を利用し殺めた男が、最後は人間として生きることすら選べなくなったというオチ、とても良かった!